住まいの耐震診断
住まいの耐震診断に関するTopics
耐震診断・補強工事を行うメリット・目的・考え方
耐震診断・耐震補強のメリット
- 安全性の向上
- 資産価値の向上
- 将来のリスクヘッジ
- 家の地震に対する構造強度が評価(数値化)される事により、丈夫さが認識出来ます。
- 耐震診断により、どこをどう補強するか、改修の方針を設計する際の基礎データとなります。
- 補強工事の工事金額の優遇金利による融資が受けられます。
- 固定資産税などの減額措置があります。
- 補強工事の補助金(金額は行政により基準有)を受けられます。
耐震補強工事を行う目的・考え方
当相談所が考える工事を行う最低限の目的は、震度6強程度の大地震に対して、「修復が困難な損傷はしても命を失うような倒壊をおこさないこと」です。避難することを可能とする補強をあくまで最低限の工事とし、さらに予算、要望などの状況で段階的に耐震性能を向上させる工事を行います。
具体的には1 階の上部評点をX方向Y方向ともに1.0 点以上がひとつの目安と考えています。
上部構造評点とは (日本建築防災協会が定めた「木造住宅の耐震診断と補強方法」によります)
ここで言う評点とは、診断や改修を行なう建物が持っている強さ【保有耐力】と、大地震で倒壊しないために必要な強さ【必要耐力】との比較による値で
上部構造評点は、建物の耐震性を評価する値で各階のX方向、Y方向についてそれぞれ算出します。また、上部構造評点のうち最小の値を総合評価の値とします。
上部構造評点のうち最小の値 | 1.5以上 倒壊しない |
安全です。 (無被害ではありません) |
1.0以上~1.5未満 一応倒壊しない |
一応安全です。 より安全性を高めるために 補強が望ましい |
|
0.7以上~1.0未満 倒壊する可能性がある |
補強工事を行ないましょう。 | |
0.7未満 倒壊する可能性が高い |
補強工事を行ないましょう。 (補強内容の選択) |
耐震改修の優先順位・方法
限られた費用で効果的な耐震改修をしょうとする場合は、一般的には、次のような優先順位で検討することが効果的と考えられます。ただし、当相談所では診断結果の内容によって、ここで優先順位が低くても検討し補強、改修する必要があると考えます。また、リフォーム・リノベーションを行う際に併せて実施すると効率的です。
1-1 壁の量と強さ
壁に筋交いを新たに設けたり、構造用合板を取り付けることにより、建物の地震に対する抵抗力を大きくします。開口部や壁の無い部分に新たに設ける方法と、既存の壁の強さを高める方法があります。
1-2 壁の配置
壁に筋交いを新たに設けたり、構造用合板を取り付けることにより、建物の地震に対する抵抗力を大きくします。開口部や壁の無い部分に新たに設ける方法と、既存の壁の強さを高める方法があります。
1-3 金物
柱と土台や梁、筋交いの接合部は金物等により適切に接合されていなければ効果がありません。また、これらと基礎との接合についても同様です。
ただし、不必要な箇所へむやみに取り付けても効果は上がりません。
これらは、構造要素として直接的に影響するもので、構造評点が低い場合は優先的に実施することをお勧めします。これらは相互に検討しながら改善することも必要です。
2 基礎の改善
*ここからは診断結果の内容によっては、初期の段階から検討が必要です。
上部構造が適切でも、基礎が著しく悪いと耐震性があがりません。無筋コンクリートの基礎を補強したり、地盤が軟弱で基礎が不動沈下を起こしている場合は地盤改良等により改善しなければなりません。工事費用は、高額になります。
3 屋根・壁の軽量化
瓦葺きの葺き土を取り除いたり、鋼板葺きに葺き替える他、土塗り壁を取り除きサイディングなどにし、建物の重さを軽くすることで、地震による建物にかかる水平力を減らし、建物の負担を減らすことができます。工事費は高額になりますが、老朽化した屋根の葺き替えや、大規模な壁の補強を行う場合に併せて検討すると効果的です。
4 老朽度の改善
柱や土台などの構造部材の腐れや白蟻による食害がある場合は、初期の段階で検討が必要です。外壁のクラック補修や、屋根の葺き替えや塗り替えやなどにより、構造評点が上がりますが、実質的な耐震性の向上にはあまり期待できません。長期的視野で考える場合は、放っておくと、雨漏りによる腐れや基礎の鉄筋が錆びるなどの被害をまねき、耐震性を大きく損ないます。健全な建物とするためには、リフォームと併せて検討することが重要です。また、構造評点を1.0 以上に引き上げるためには欠かせない工事です。